Save Lives X Protect Kids Project

宮城県自治会館

2011年10月28日、株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパンの“セーブライブズ(Save Lives)”プロジェクトの一環で、東日本大震災の被災地である宮城県に伺いました。

Save Livesとは

ロイヤル フィリップス エレクトロニクスのヘルスケア部門が一般市民にAEDの普及と利用促進および質の高い心肺蘇生法(CPR)の啓発を 目的として2009年9月から立ち上げた社会活動。(日本での活動は2011年2月から)主な活動は

  • ・正しいAEDや心肺蘇生法(CPR)に関する基礎知識の普及啓発
  • ・正しいAEDの選び方,使い方,設置方法,管理方法などの情報提供
  • ・質の高い心肺蘇生法(CPR)に関する情報の提供
  • ・AEDの設置推進
  • ・連携強化/情報ネットワークの構築
この「Save Lives」プロジェクトと健全な子供の育成を掲げるポップアスリートの「ProtectKidsProject」が手を組んで、被災した地域のスポーツ少年団にAEDを届けるプロモーションを行いました。
またこの企画の背景には、プロ野球 横浜DeNAベイスターズのピッチャー江尻慎太郎選手の存在なくして語る事はできません。

もしもあの時AEDがあれば・・・

江尻選手は約2年半前、突然の心肺停止が原因で、大学時代の友人を失うという経験をされています。もしもその時近くにAEDが有れば助かったのではないか、という出来事をきっかけに、AED普及の必要性に興味を持たれ、メーカーである株式会社フィリッ プスエレクトロニクスジャパンに相談をされました。
ちょうど「Save Lives」というプロジェクトが立ち上がり、啓発活動を行っているとのことから、パートナーとして一緒にその普及活動を行なっていこうという事になりました。そして時をほぼ同じくして起きた東日本大震災。この震災により被災地では多くの設置済みAEDが失われてしまったということを知った江尻選手は、被災地にAEDを寄贈し一つでも多くの命が救われればと考え、今回のプロジェクトの第一歩踏み出したのです。

江尻選手はこうも考えます。
「私たちのいるプロスポーツの現場よりも、少年野球始め少年スポーツの現場の方が、AEDをはじめとする医療機器は不足しがちです。子供達が、明日のプロスポーツ選手を夢見て、安心して思いっきり活動できる現場を提供するということ、それに少しでも貢 献できる事が、私たちプロスポーツ選手の使命であり、喜ぶべき事ではないかと。」そのような使命感を持った江尻選手はセットアッパーとして2011年のシーズンで一軍登板10試合につき 1台のAEDを寄贈する、という目標を立てられました。結果、オールスターにも初選出された今シーズン、中盤体調を崩しながらも昨年を上回る65試合の登板を果たし、6台のAED贈呈をすることになりました。今回はそのうちの3台を被害の大きかった、江尻選手の生まれ故郷でもある宮城県に寄贈する事になりました。

今回の寄贈に際してはポップアスリートの「がんばれ!東北」プロジェクトでも多大な協力を頂いた、宮城県スポーツ少年団 後藤本部長のお力添えもあり、設置先の選定および贈呈式のセッティングがスムーズに行われました。訪問当日は球団のメディカルチェック日と重なりあいにく参加できなかった江尻選手に変わり、マネジメント会社阿部慎史様にご参加いただき、我々一行はまずその宮城県スポーツ少年団に赴きお話を伺いしました。

AEDは命を守る有効的な機器


右:宮城県スポーツ少年団本部長 後藤佑哉様
左:江尻慎太郎選手:代理人 阿部慎史様

今回の寄贈に関して後藤佑哉本部長は「この寄贈プロジェクトには早くから期待しておりました。
何故なら、AEDが命の大切さを感じる上で身近で有効的な機器であるという認識を持っているからです。また今回の震災においても、被災者のそばにより多くのAEDが備え付けられていれば、救われた命もあっただろうと思えるような事実が今頃になって新聞記事などで情報として入ってきます。また既にAEDを設置していた地域においてAEDが流されてしまった施設もあるようです。こんな情報もやっと半年以上経って多くの人が認識するという状況なのですよ。」

「スポーツ少年団の子供達にとっての万が一の事態に備えることができますね。大切に取り扱っていきます。また今回の取り組みを正確に組織の中において報告して参ります。そして何より江尻選手に心から感謝致します。」と語られました。

子供達の笑顔はみんなを元気に

同席されていた千葉伸洋専務理事兼事務局長は「今回の震災においては全国・全世界から多大なご支援を頂いています。今現在も被災地は厳しい状況の中ではありますが、子供達の笑顔は地域の大人たちも元気にさせます。つまり子供達が笑顔を見せる事のできる環境を我々大人達が作る事。これが被災地の大人に与えられた使命なのではないかと思います。そしてその実現こそが頂いたたくさんの恩に報いる事なのだと感じます。」


全国から寄せられた寄せ書き

そして面談をした諸室に貼られた激励の横断幕を見つめられながら「物資の支援もとてもありがたいですが、寄せ書きなどに書かれた励ましの言葉は本当に励みになるんです。」と語られました。

続いて実際寄贈先の現地の方々との調整を行って頂いた渡辺美絵主事に今回の震災について想いを述べて頂きました。

いのちの大切さを体感

「今回の震災を通じて【いのちの大切さ】【自分は生かされているんだ】という人生において初めての感覚を体感しています。そして今回のような温かい支援については【スポーツでつながる絆】というものを強く感じました。震災で辛く悲しい想いをした反面、人と人がつながる事を実感する事ができたという前向きな想いを持っています。 そして何より辛い想いをした子供達の笑顔が戻るように願うばかりです。」


  • 被災状況①

  • 被災状況②

  • 被災状況③

この日は実際に寄贈先である女川町スポーツ少年団に後藤本部長・渡邊主事に同行して頂きました。地盤沈下やコンクリートのビルが横倒しになった光景の残る女川町では佐藤誠一女川町スポーツ少年団事務局長にAEDの寄贈と話を伺いました。

AEDをもっと普及させたい!


右:女川町スポーツ少年団事務局長 佐藤誠一様
左:江尻慎太郎選手:代理人 阿部慎史様

「女川という地区は野球が盛んですが、町の野球場に日本初の3階建て仮設住宅が建てられた事でも有名です。私は議会の最中に震災に遭いました。何と20mほどの高さの津波が押し寄せたんですよ。正直【死】を覚悟しました。直後は老人・妊婦さんを優先的に避難させ火を焚いて寒さを凌ぎましたが、低体温症で亡くなった方も多かったようです。幸いにして私は難を逃れましたが、1960年に発生したチリ地震の津波を経験された方々がその経験値を遥かに凌ぐ大津波であったため、多く亡くなられたと伺っています。10014人いた町の人口は9182人に減ってしまいました。」

設置されていたAEDの状況に対しては「かなりの数のAEDが津波などで流されてしまったようですが、今回の寄贈をきっかけに、 消防の協力も得ながら、心肺蘇生(CPR)とAEDの普及を促進していきます。消火器と同じような感覚で仮設住宅集会所などにもAEDを設置していけたらと考えています。」

更に被災した子供達について話を伺うと「女川の子供達は元気です!そんな子供達からエネルギーをもらいながら、それまで沈みがちだった大人達もだんだん元気を取り戻しつつあります。復旧は10年近くかかるでしょう。ただ子供達には「ガンバレ!」とは言わず「明日がある。日はまた昇る!何とかなるさ!」と言いながら一緒に励まし合って歩んで行きたいと思います。必ず復興しますから見ていてください!」と力強く語っていただきました。


AEDの注意事項を聞かれる佐藤事務局長

今回贈呈されたAEDは、団主催のスポーツ教室を開催する場合などに車に積載し、常に大事に備える体制を作る切り札的ツールになれば、とのお考えもあるようです。佐藤事務局長はAED使用の注意事項などにも熱心に耳を傾けられ、非常に高い関心が伺えられました。

そして2つ目の寄贈先である石巻市に向かいました。女川町から車で走る事約30分、死者3,282名、行方不明者が600人を超える大打撃を受けた石巻市に辿りつきました。石巻市ではAEDに対する認識を石巻市体育協会の近藤昌弘様に伺いました。

AEDがあれば本当に安心


左:石巻市体育協会事務局長 近藤昌弘様
右:江尻慎太郎選手:代理人 阿部慎史様

「体育館で卓球教室に参加されていた御老人が倒れられた際にAEDを活用した実績があります。職員の中にも実際にAEDを使用された方が居るとの事で、AEDという機器の重要さは充分理解しています。」
「AEDがあれば本当に安心して、今後の大会運営などができますね。」
などの意見を頂戴しました。

また 「体育館でフットサル練習中に亡くなった方がいらっしゃるんです。もしその時AEDがあれば助かったかもしれません。結果的に今現在体育館でフットサルができなくなっている。つまり不幸な出来事が起きたことによるスポーツ機会の減少につながっているという悲しい現実もあったりするのです。」

また江尻選手の経歴などもお話しすると「スポーツ少年団主催でAED啓蒙の機会を作っていけたらいいですね。その時は江尻選手にもお越し頂けたらいいですね。」と終始和やかな雰囲気の中、石巻市への贈呈式が完了しました。


AEDの注意事項を聞かれる
石巻市体育協会の皆さん

江尻選手に寄贈頂いた3台のAED。1台は女川町、2台は石巻市のスポーツ少年団にお届けすることができました。
震災に負けずスポーツに励む少年少女たちにとって「安心」という多大なバックアップをもたらす第一歩になったのではないでしょうか。

AEDが使われる事は決して望まれる事ではありませんが、万が一の時にきっとかけがえの無い「命」をつないでくれることを願います。

AEDは救命処置のための医療機器です。AEDを設置したら、いつでも使用できるように、AEDのインジケータや消耗品の有効期限などを日頃から点検することが重要です。製造販売業者または販売業者が、設置者の保守管理の手間を軽減する独自のサービスをご用意しております。お客様のご都合に合わせて、これらを利用し、いつでもAED が使える状態にしておいてください。

企業としてSLJに対する考え方

近年、スポーツを行う環境の整備や安全の確保の重要性が高まる中、AED(自動体外式除細動器)は必要不可欠なものとなりつつあります。
フィリップスは、一般市民にAEDの普及と理解促進、および質の高い心肺蘇生法(CPR)の啓発を目的に2009年9月に立ち上げた社会活動を通じて

  • 正しいAEDや心臓蘇生法(CPR)に関する基礎知識の普及啓発
  • 正しいAEDの選び方、使い方、設置方法、管理方法などの情報
  • 質の高い心臓そして違法(CPR)に関する情報提供
  • AEDの設置推進

を行っており、特定非営利活動法人日本ライフセービング協会やジャパンラグビートップリーグなど幅広いパートナーとの連携活動に取り組んでいます。

我々、フィリップスはhealth and well-beingの世界におけるリーディングカンパニーとして、皆様が安全にスポーツを楽しめる環境作りのためにこれからも「セーブライブズジャパン」の活動を通じて、AEDの普及と理解促進、心肺蘇生法(CPR)の重要性を啓発し、日本における救命率の向上に貢献していきた いと思います。

今回の企画に対する企業としての思い・メッセージ

今回の企画について、(株)フィリップス エレクトロニクス ジャパン:ダニー・リスバーグ代表取締役社長は

「フィリップスが推進している『セーブライブズ(Save Lives)』の活動意義に、江尻慎太郎選手にご賛同いただき、このような素晴らしいパートナーシップを締結できたことを心より感謝しております。そしてこの度、東北地方にAEDを寄贈することが実現できて、健康とやすらぎ(health and well-being)を提供する医療機器メーカーとして、フィリップスは本活動を通じ、江尻慎太郎選手と共に被災地の復興活動、少年少女のスポーツをサポートし、皆さんがより安全な環境でスポーツに取り組むことが出来る環境作りのお手伝いをしていきたいと考えています」

と話していただきました。

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